社長メッセージ

レンタルビデオショップや、複合カフェなどアミューズメントエンターテイメント関連のビジネスをフランチャイズ展開されてきた社長が、介護ビジネスに参入しようとお考えになったきっかけはなんですか?

事業の柱として何か新しく始めようと考えていたんですが、実は、もともとはそこまで介護ビジネスに興味があった訳ではなかったんです。
色々調べている中で、とある知り合いの方から「是非一度見て欲しい」と散々言われ続けて。当時は私自身「介護」って、ビジネスのため、利益のためにやるべきものではないのではないか、ボランティア精神に近いものが必要とされるのではないか、と思っていたので、そのお誘いをお断りし続けていたのですが、ある時とうとう断れなくなって、その方が運営されている施設に見学について行きました。

車で行ったのですが、降りるときにマスクを渡されて。もちろんそのマスクは「私が菌を持っていて利用者に移したらいけない」という気配りだったんですが、その時は「ああ、今からマスクをしないといけないようなにおいなどがある、相当ひどい現場に連れて行かれるんだ」と思って本当に気のりしていなかったのを覚えていますね。

ところが、実際にその施設を見せてもらった時に、いきなり考え方が180度変わった訳です。「樹楽」でやっているのと同じ民家を改修した施設だったのですが、夕暮れ時で居間に光がさしていて美しい時間でした。玄関を開けると施設の従業員の方に元気よく挨拶して頂き、居間に通してくださったのですが、利用者の方にまるでご親族のようにお声掛けされている施設の従業員の方がいたり、ご高齢の利用者の方と一緒におやつを料理されている施設の方がいたり、奥の方ではゆっくりとお休みになられている利用者の方がいたり。
まるで娘さんなりお孫さんなりが、ご親族のお世話をされているような、「家族」の情景だったのです。昔、私の実家で母の家にお年を召した方が集まっていて色々過ごしていたのですが、それと同じようにとても自然な感じで、「ご近所付き合い」のような自然な形が出来ていたのを記憶しています。

今までのビジネスではレンタルビデオにしても複合カフェにしても、「本当に成功できるのか」「どのように店舗展開を進めていくのか」を徹底的に考え抜いて事業化を進めてきましたが、樹楽に関しては収支の話はとりあえず考えずに、「私にもこのビジネスを教えてほしい」と思って、直営で開業することにしましたね。

その後、まずは直営という形で「樹楽団らんの家」事業を開始される訳ですが、実際に運営されてみて如何でしたか?

実際に始めてから分かったのですが、介護市場自体にも、まだまだ改善されるべき余地があるなと思いました。
一般的な特別養護老人ホームなどで認知症の入っておられる利用者の場合、あまり会話もされずに一日中退屈にされていることも多く、どんどん認知症が悪化していっているのではないか、と感じるようなこともありました。
心情的、経済的な理由からなかなか施設に入れたがらないご親族の方も多いようでした。

実際に始めると、普通に進めていたら3〜4ヶ月後にはすぐ黒字化しましたね。「いやこれは利益を取り過ぎじゃないか」と思って、スタッフ数や食事回数など、もっと原価を上げてサービスを向上させるよう指示しました。

結果、これはフランチャイズでやっても全然成立するな、と思って、弊社の持つ複合カフェの店舗展開のノウハウを活かして、フランチャイズ展開をすることにしました。

今までのビジネスではレンタルビデオにしても複合カフェにしても、「本当に成功できるのか」「どのように店舗展開を進めていくのか」を徹底的に考え抜いて事業化を進めてきましたが、樹楽に関しては収支の話はとりあえず考えずに、「私にもこのビジネスを教えてほしい」と思って、直営で開業することにしましたね。

フランチャイズ展開を進めていくにあたり、オーナーにお伝えしたい事はありますか?

「介護ビジネス」にご興味があるのなら、とにかく一度見て頂き、やってみて頂きたいですね。もちろんビジネスとして、フランチャイズ本部として、「収益化」を目指すためのご支援もしていきますが、やって頂いたら必ず「やりがい」や「樹楽というサービスの存在価値」を見出して頂ける、分かって頂けると思っています。

いざ取り組んで頂いた時に、収益ももちろん大切だと思いますが、樹楽が必ず「世の中でやって行かないといけないビジネス」で、仕組み的にも絶対に必要とされている価値があることを、是非オーナー様と共有させて頂きたいと思っています。オーナー希望の方から、加盟前に「稼働率」や「収益性」などを懸念されて、「収益モデルに合わなければ原価を下げたくなってくる、サービスの質が下がってしまうのではないか」などのご質問も良く頂きますが、実際に取り組み、どんどんサービスの向上に費用を投じられるオーナー様も数多くおられます。そういった想いを、オーナー様と分かち合っていきたいと思っています。

今後、「樹楽団らんの家」は、どのようなサービスを目指していきますか?

単に「お泊りデイサービス」としてではなく、私は「今の日本にない、いわゆる古きよき日本の情景」というか、「地域のつながり、人と人との関係、コミュニケーション」など現代社会で失われつつある情景を取り戻せるような介護サービスを展開していきたいと思っています。もちろん、加盟オーナー様にもその「今の日本で失われつつある情景」を取り戻せるような満足感を感じて頂きたいと思っています。

弊社では「くつろげる空間」を提供することを目指し、「個」の空間を大切にするネットカフェのビジネスも展開しています。しかし、いわゆる日本の「個室文化」というものは、戦後大分経ってから始まった比較的新しい考え方だと思います。「個室文化」ばかりに重点を置きすぎると、過疎化や核家族化も進んでいる世の中、高齢化社会を迎えた日本人は今後どんどん孤独になってしまう。特に認知症の問題を抱える方は相談できる相手もおらず、ますます認知症が進行してしまうことも考えられます。

そんな中で、人と人との営みへの回帰、現在日本が失いつつあるまち、むら、ご近所というコミュニケーションの場を提供したいと考えています。

私自身、「認知症の特効薬はコミュニケーション」と従来から言い続けているのですが、こういったコミュニケーションを取りながら生活していける環境は、認知症を患っている方への「やすらぎ」を与える上でも一番いいと思っており、何とか科学的にも証明できるはずだ、と考えています。

まだまだ一般的には、認知症や介護は「ちゃんとした医療機関で受けた方が良い」という先入観が高いと思うのですが、今後日本中に樹楽の考える介護サービスの形を展開して、「やっぱり樹楽があって良かった」と、利用者の方、ご親族、オーナーの皆さんに思って頂けるように、全国展開を進めていきたいですね。